地方巡察使(読み)ちほうじゅんさつし

改訂新版 世界大百科事典 「地方巡察使」の意味・わかりやすい解説

地方巡察使 (ちほうじゅんさつし)

1869年(明治2)および82年,83年の両年におかれた地方の監督官。戊辰戦争戦場となった奥羽地方の民政状況を把握するために,1869年奥羽岩代若松・両羽・三陸巡察使を派遣したのがはじまりだが,同年7月の官制改革により,奥羽,北陸に按察使が設置されたのを機に廃止された。その後82年,自由民権運動が高揚し,地方官と地方民衆の間に対立紛争が激しくなった状況下で,再び地方巡察使が設置される。地方の政治状況,自由民権運動の浸透状況を正確に把握したうえで,自由民権運動の弾圧策を探り,政情を安定させる政策をたてることが巡察使設置の目的であった。82,83の両年にわたって,全国を5部に分け,元老院と参事院議官を巡察使に任命し特派した。安場保和,関口隆吉,渡辺清らである。彼らの克明な地方調査をもとにした巡察結果は,正確な復命書として提出され,その後の政策形成に影響を与えた。
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