地獄の一季節(読み)じごくのいちきせつ

百科事典マイペディア 「地獄の一季節」の意味・わかりやすい解説

地獄の一季節【じごくのいちきせつ】

ランボーの散文詩集。《Une saison en enfer》。1873年の作で1895年刊。10編からなる。ベルレーヌとの同棲(どうせい)生活の体験を地獄背景とし,社会のモラルへの軽蔑(けいべつ)や反抗文学への訣別(けつべつ),至上の無垢(むく)に至る苦行などを,〈言葉の錬金術〉によって,一つの神話の域にまで高めた詩作品。20世紀文学に与えた影響は大きい。
→関連項目ランボー

出典 株式会社平凡社百科事典マイペディアについて 情報

世界大百科事典(旧版)内の地獄の一季節の言及

【ランボー】より

…71年秋,ベルレーヌの招きでパリに出,次いで2人でベルギー,ロンドンなどで同棲生活を送るが,73年7月10日,ベルレーヌのランボー狙撃事件で決裂。同年4~8月に書かれた散文詩《地獄の一季節Une saison en enfer》は,以上の体験を踏まえた個人的危機の表現であるとともに,近代ヨーロッパのあらゆる堕地獄的矛盾,苦悩の集約的表現ともなっている。たぶんこの作の前後3~4年にわたって,もう一つの傑作散文詩集《イリュミナシヨンIlluminations》の諸作が書かれるが,75年ころからは文学を離れ,ドイツ,スカンジナビア,イタリアからジャワにまでわたる世界各地を放浪,最後はエジプト,アビシニアで交易に従事する。…

※「地獄の一季節」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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