日本大百科全書(ニッポニカ) の解説
地球環境産業技術研究機構
ちきゅうかんきょうさんぎょうぎじゅつけんきゅうきこう
地球環境保全のための産業技術を研究開発する公益財団法人。英語名はResearch Institute of Innovative Technology for the Earthで、略称RITE。首相の海部俊樹(かいふとしき)(当時)が1990年(平成2)のヒューストン・サミットで提唱した「地球再生計画(New Earth 21)」に沿って、官民折半出資の財団法人として同年発足した。所管は経済産業省。2011年(平成23)に公益法人となる。温暖化防止など地球環境の保全に役だつ技術開発のほか、民間との共同プロジェクト推進、国際交流、調査研究、情報収集・提供、温暖化対策のシナリオ策定、普及・啓発などを行う機関である。具体的には、民間企業と連携し、化学吸収液や分離膜による二酸化炭素(CO2)の分離・回収技術、CO2の地中などへの貯留技術、生物由来のバイオ燃料や化学品を生産するバイオリファイナリー技術、無機膜を用いた革新的技術などの開発に取り組んでいる。開発技術や成果を広く産業界に普及する目的で、民間企業を対象にした賛助会員制度を導入しており、賛助会費は1事業年度につき1口30万円である。本部を京都府木津川(きづがわ)市の関西文化学術研究都市内に置く。トップは理事長職で、初代理事長に経団連会長を務めた斎藤英四郎(えいしろう)(1911―2002)がつき、2020年時点で、理事長は東京大学名誉教授の茅陽一(かやよういち)(1934― )。職員数169人。
[矢野 武 2020年3月18日]