城一(読み)じょういち

精選版 日本国語大辞典 「城一」の意味・読み・例文・類語

じょういちジャウイチ【城一】

  1. 鎌倉中期琵琶法師検校平家琵琶中興の祖。平家琵琶を創始した生仏弟子城生検校から琵琶を伝えられたといい、筑紫に住んでいたので、この流を筑紫方といった。弟子に城玄と如一の二人がある。生没年不詳。

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朝日日本歴史人物事典 「城一」の解説

城一

生年:生没年不詳
鎌倉後期,14世紀はじめから中期にかけての平家琵琶(平曲)奏者。名を了義坊とも。目が不自由であった。平家琵琶の開祖生仏の弟子である城正の弟子で,門弟に城玄と如一があるというが,別伝には如一の弟子が城一と覚一だともあり,いずれも伝承によるもので事実は不明。筑紫殿と称したことから,九州の菊池氏の縁者とも。興福寺大乗院の坊官の日記断簡『嘉暦三年毎日抄』に登場する成一を城一その人とすれば,14世紀前半の真慶と並ぶ京都在住の名人ということになる。寛永3(1626)年の春,藤田検校城慶が加賀国(石川県)で入手した八坂方平家物語』が,城一の用いた本文であるとする説があり,その本文は灌頂巻を別に立てる前段階で,城一を一方流が分派するころ(14世紀ごろ)の人としており,上記の伝承と重なる。しかし,実はその本文は八坂流末期(室町後期ごろ)のとりあわせ本なので,すべての説がくずれてしまう。言い換えれば,実在の人物としても当道座の伝承を背負った人であろう。

(山下宏明)

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デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「城一」の解説

城一 じょういち

?-? 南北朝時代の平曲家(平家琵琶(びわ)家)。
一方(いちかた)流の祖。平曲の完成につとめ,弟子の明石覚一(?-1371)とともに「平家物語」の建礼門院の段を「灌頂(かんじょうの)巻」にまとめたという。如一(じょいち)と同一人物との説がある。

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