国指定史跡ガイド 「塔原塔跡」の解説
とうのはるとうあと【塔原塔跡】
福岡県筑紫野市塔原東にある寺院跡。県道31号の塔原交差点の傍らにある古代寺院の塔心礎で、1辺約1.8m、厚さ約60cmの花崗岩の上面を平坦に仕上げ、中央に径98cm、深さ11cmの円形枘(ほぞ)穴、さらにその中央に方形2段刳(く)り込みの仏舎利を納める小穴を設けている。この塔心礎はわが国における最古の部類に属していることなどから、1939年(昭和14)に国の史跡に指定された。江戸時代、貝原益軒が記した『筑前国続風土記』には、この石が「塔原」という地名の由来になったとあり、『太宰府旧跡全図(北)』にも、十王堂跡として描かれている。また、発掘調査によって山田寺系瓦との関連が考えられる軒丸瓦(のきまるがわら)・軒平瓦が出土しており、山田寺が蘇我倉山田石川麻呂の寺だったことから、蘇我氏との関連が裏付けられている。この付近を塔原ということから、塔原廃寺の跡とも推定され、さらに500mほど北西の竹林の中には杉塚廃寺跡があって、礎石が数個残っている。筑紫野市歴史博物館に出土品の一部を展示。JR鹿児島本線二日市駅から徒歩約12分。