化学辞典 第2版 「塩効果」の解説
塩効果
エンコウカ
salt effect
中性塩効果ともいう.液相の反応系に塩類を加えることによって,反応速度が変化する効果をいう.塩効果はその原因によって二つに分類されている.第一塩効果といわれているのは,液相のイオン反応において,塩類の添加が溶液のイオン強度を変化させ,そのため反応するイオンの活量係数が変化するために起こるものである.活性錯体理論によると,
A + B (AB)(活性錯体) → 生成系
の反応の速度定数kは,ブレンステッド-ビエラムの式により,次のように書ける.
ここで,γは活量係数,k°は活量係数がすべて1のときの反応速度定数である.γはまた,溶液のイオン強度μとデバイ-ヒュッケルの理論により,次の関係式で結ばれる.
ln γ = -az 2+bμ
ここで,a,bは定数,zは荷電数である.上の二つの式から,反応速度定数kに対する塩類添加の効果が評価できる.第二塩効果は第一以外の場合についてよばれるが,おもに添加した塩が反応する分子種と共通のイオンをもつために平衡濃度が変化して,反応速度がかわる効果をいう([別用語参照]共通イオン).このほかの効果としては,液相の触媒反応において塩の添加が触媒の活性を変化させるような場合もある.
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報