化学辞典 第2版 「活性錯体」の解説
活性錯体
カッセイサクタイ
activated complex
活性錯合体ともいう.化学反応において,できるだけエネルギーの低い経路を選びつつ,原系から生成系へ向かって原子配置の組換えが行われる際,通る経路のなかで自由エネルギーの最高の位置に相当する状態をいう.この状態は,結合距離の関数として反応系のポテンシャルエネルギー(正確には自由エネルギー)の曲面を考えるときのいわゆる鞍点に相当する.活性錯体は並進,回転,振動の自由度をもつ一種の分子であるが,反応座標軸方向への振動のみが原系および生成系へ等しい確率で分解を引き起こす.遷移状態理論は原系と平衡にある活性錯体を考え,その生成系への分解をもって反応速度を評価する理論である.
出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報