塩化スルホニル(読み)エンカスルホニル

化学辞典 第2版 「塩化スルホニル」の解説

塩化スルホニル
エンカスルホニル
sulfonyl chloride

スルホニルクロリド(sulfonyl chloride),スルホン酸塩化物(sulfonic acid chloride)ともいう.一般式RSO2Clで表される,スルホン酸のヒドロキシ基塩素で置換した化合物の総称.スルホン酸またはその塩と五塩化リンから得られる.一般に,脂肪族同族体は無色の液体で,芳香族体は結晶である.水により加水分解され,スルホン酸になる.アルコールとはスルホン酸のアルキルエステルを生じ,アミンとはスルホンアミドを与える.還元によりチオールを与える.【】SO2Cl2(134.97).塩化スルフリルともいう.活性炭,ショウノウなどを触媒として,SO2とCl2の反応,HSO3Clの熱分解などで得られる.気体分子は四面体型で,S-O1.413 Å,S-Cl2.012 Å.∠O-S-O123.5°,∠Cl-S-Cl100.3°.室温では無色の刺激臭の液体.融点-54.1 ℃,沸点69.1 ℃.1.705.1.443.300 ℃ までは安定で,それ以上では分解する.室温では水で分解してH2SO4とHClになるが,低温では十五水和物の結晶も得られている.ベンゼン,トルエンなどの有機溶媒に可溶.毒性が強く毒ガスに用いられたこともある.有機合成で,塩素化剤,スルホン化剤に利用される.[CAS 7791-25-5]

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

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