塩吹臼(読み)しおふきうす

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「塩吹臼」の意味・わかりやすい解説

塩吹臼
しおふきうす

日本の民話。海の水がなぜ塩辛いのかという素朴な疑問を,巧みに因果応報の物語と結びつけた起源説話の一つ。貧しい弟が年越しもできず,長者の兄のところへ米を借りに行くが,欲張りな兄はばかにして追返す。その帰途,出会った老人から知恵と麦饅頭を授かった弟は,その饅頭を森の小人石臼と交換するが,この石臼がなんでも望みのものを生み出すものであったため,一夜にして長者となる。これをねたんだ兄は石臼を盗み出し,舟に乗せて海へ出ると,こっそり甘い物を出して食べ,次に塩を欲する。ところが,それを止めるまじないを知らなかったため,塩は舟いっぱいになっても止まらず,ついに舟は沈み兄はおぼれ死ぬが,石臼は海底へ沈み,いまでも塩を吹続けているという話。話に多少の異同はあるが類話は全国に分布し,また中国,朝鮮をはじめ東ヨーロッパや北ヨーロッパの諸国でもみられる。

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