まじない

日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

まじない
まじない / 呪い

超人間的な力を、人力で操作しようとする技術。英語のmagic、漢語の呪術(じゅじゅつ)に対する在来の日本語。まじないと呪術とを区別しようとする学者もあるが、困難である。確かに「おまじない」というと、ただの気休めや呪文の意味で使われることもあるが、それは語感の問題にすぎない。信仰や宗教の場合、神霊と人との関係をみると、人は神霊に対してひたすら願い、すがり、崇(あが)め、恩愛を求める。ところが呪術の場合は、人と神霊とは対等であって、ときには人が優位にたつことさえある。また欧米においては、社会に害のあるものを黒(くろ)呪術、害のないものを白(しろ)呪術として区分することが多い。しかし有害・無害の判定は時代により社会環境によって変化するものであり、絶対的な基準を設けることがむずかしい。結局欧米ではキリスト教の道徳律を基準にすることになろうが、全世界に当てはめるには疑問がある。
 呪術は一種の技術であるから、手段別の分類が可能のはずである。神霊と人間との関係を主眼にして、大きく四つに分けてみよう。誘導呪術は神霊と人との関係が穏やかなもので、なだめすかし、送り出し、代用物を使い、ごまかし、つじつまをあわせ、連想によるものなどがある。触発呪術は神霊が本来もっている力を利用するもので、祝福したり、感染させようとしたり、挑発したり、再生、触発、増殖を促す呪術である。対抗呪術は霊力から身を守ろうとするもので、いわば専守防衛である。そのためには呪力あるものを身につけたり、より強い霊力にすがったりするほか、幾人もの力を結集して対抗するとか、災厄を分散するなどの手段がある。支配呪術は人間が神霊よりも優位にたつもので、霊力を封じ込めたり、願い事を強制したり、神霊を圧服したり、悪口を浴びせかけたり、見せしめ、仕返しなどの手段がある。まじないには心理的な面が多いから、かなりのものが現代にも存続している。[井之口章次]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

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