売位(読み)バイイ

山川 日本史小辞典 改訂新版 「売位」の解説

売位
ばいい

財物進納や造営請負の代価として位階を与えること。8世紀,知識物の献納叙位をもってむくいた献物叙位がその嚆矢(こうし)といえるが,9世紀には院宮の年爵,10世紀後期には成功(じょうごう)による叙爵が始まり,売位の制は拡大した。とくに成功は院政期に入ると国家財政に必要不可欠なものとなり,臨時内給による叙位とも同質化した。売位によって与えられる位階は古くは叙爵(従五位下)を原則としたが,やがて加階にも及ぶようになった。

出典 山川出版社「山川 日本史小辞典 改訂新版」山川 日本史小辞典 改訂新版について 情報

世界大百科事典(旧版)内の売位の言及

【売官】より

…清末官員の腐敗も捐納を助長し,1901年停止令が下った。【梅原 郁】
[日本]
 国家の財政制度として,公然と希望者を募り,任料,叙料を納入させて任官,叙位を行う売官・売位制度が,平安時代を中心に鎌倉時代に及んで行われた。年官年爵および成功(じようごう),栄爵がそのおもなものである。…

※「売位」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

今日のキーワード

苦肉の策

敵を欺くために、自分の身や味方を苦しめてまで行うはかりごと。また、苦しまぎれに考え出した手立て。苦肉の謀はかりごと。「苦肉の策を講じる」...

苦肉の策の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android