財物(読み)ザイブツ

  • ざいもつ

大辞林 第三版の解説

金銭と物品。ざいもつ。
保護に値する価値または効用を有し、窃盗・強盗・詐欺・恐喝・横領などの犯罪の客体となる物。
財宝。家財。ざいぶつ。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

財産的に価値を有する物。財産上の利益に対する概念。刑法上、財物は財産犯に共通する行為客体である(ただ、背任の客体に財物が含まれるかについては争いがある)。刑法上、「財物」の意義につき、有体性説と管理可能性説の大きな対立がある。前説によれば、財物は有体物に限られ、電気その他エネルギーのような無体物は含まれないと解されるが、後説によれば、たとえばメーターによる測定のように物理的に管理可能であれば、無体物でもよいと解されている(後説が通説・判例)。この点に関し、かつて、電気の盗用につき、電気が刑法第235条の窃盗罪にいう「財物」にあたるかが争われたが、同法第245条は「電気は財物とみなす」と定め、立法により解決した。ただ、電気以外のエネルギーが刑法上の財物に含まれるかについては、同条によって解決されないため、有体性説と管理可能性説の争いは、いまなお意義を有している。
 なお、財産犯における「財物」は、使用価値・交換価値を問わず財産的価値を有するものでなければならないが、価値のきわめて軽微な物については、もはや刑法的な保護に値しないから財物から除外すべきであろう。[名和鐵郎]

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精選版 日本国語大辞典の解説

〘名〙
① =ざいもつ(財物)〔新撰字解(1872)〕
② 刑法上、窃盗・強盗・詐欺・恐喝・贓物(ぞうぶつ)の犯罪の客体となるもの。動産に限らず、不動産も含む。
※刑法(明治四〇年)(1907)二三五条「他人の財物を窃取したる者は窃盗の罪と為し」
[補注]「文明本節用集」「易林本節用集」や「日葡辞書」では、「ざいもつ」のよみしかあげられていない。
〘名〙 金銭と品物。財貨。また、家財。財産。ざいぶつ。
※続日本紀‐霊亀二年(716)五月己丑「条録部内寺家可合并財物
※今昔(1120頃か)二「財物盗賊の為に被奪れぬ」 〔礼記‐礼器〕

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