売官制(読み)ばいかんせい(英語表記)vénalité des offices

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「売官制」の意味・わかりやすい解説

売官制
ばいかんせい
vénalité des offices

フランス絶対王政期にみられた,官職の売買自由制をいう。 16世紀後半には,商人が購入した諸官職は事実上の世襲化に向い,また官職保有者間による官職売買も行われていたが,バロア王権は不確定な政策によって,売官制停止,世襲禁止などを交互に打出していた。このような官職の不安定性を一掃し,官職の世襲制と売買自由制を法的に確立したのが,1604年の「ポーレット法」である。以来,官職は一定の収益をもたらす不動産となり,次第に新興ブルジョアの手に入り,そこに法服貴族が形成された。しかも王権は,ポーレット法施行にあたって,手中に官職廃棄権を残すことによって,官僚の忠誠を保持しようとした。 1789年8月廃止された。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

今日のキーワード

大臣政務官

各省の長である大臣,および内閣官房長官,特命大臣を助け,特定の政策や企画に参画し,政務を処理する国家公務員法上の特別職。政務官ともいう。2001年1月の中央省庁再編により政務次官が廃止されたのに伴い,...

大臣政務官の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android