売茶(読み)ばいさ

日本大百科全書(ニッポニカ) 「売茶」の意味・わかりやすい解説

売茶
ばいさ

古くは街道に荷茶屋を持ち出したり、茶屋を設けて「一服一銭」で茶を売ったが、近世に入ると寺社参詣(さんけい)する信者のために茶所(ちゃじょ)を設けて茶売りをすることが多くなった。売茶の記録の初見は、1403年(応永10)の東寺南大門の茶売りである。一服一銭とは、一服の茶を提供して一銭をとったからだとか、一文銭一杯の茶を一服として提供して銭をとったからだとかいわれているが、その真偽は不明である。狂言の『通円(つうえん)』や『煎(せんじ)物売(ものうり)』は当時の売茶のようすを伝えるものであり、『洛中(らくちゅう)洛外図屏風(びょうぶ)』や『風洛図屏風』『社寺参詣曼陀羅図(まんだらず)』にみる「一服一銭」や「掛茶屋」も売茶のようすを教えてくれる。

[筒井紘一]


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