日本大百科全書(ニッポニカ) 「多角測量」の意味・わかりやすい解説
多角測量
たかくそくりょう
traversing
ある1点から出発して、見通しのきく次の点までの距離と方向角を測定し、これを定められた終点に到達するまで繰り返していく測量法。トラバース測量ともいう。当初、角度の観測にはトランシットを用い、距離の測定には鋼巻尺(スチールテープ)を用いており、主として平地で比較的近距離の測量に用いられ、三角測量に比べて精度は落ちるとされていた。1970年代になると、距離測定に電磁波測距儀を用いるようになって測量距離も精度も作業能率も飛躍的に向上し、三角測量のかわりに多角測量方式が採用されることが多くなり、とくに外国の砂漠地帯での測量にはほとんどこの精密多角測量が実施された。21世紀に入ると、広域の測量はGNSS測量が主流となったが、局所的な測量では引き続き多角測量がよく行われる。
一般の多角測量は出発点に戻って環をつくる閉トラバースと、戻らない開トラバース、および両端点が既知点で固定されている結合トラバースとに分類される。
[尾崎幸男・辻 宏道 2016年11月18日]