三角測量(読み)さんかくそくりょう(英語表記)triangulation; triangulation survey

  • さんかくそくりょう ‥ソクリャウ
  • さんかくそくりょう〔ソクリヤウ〕
  • 三角測量 triangulation

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

地上の平面位置を示す地点の位置を決定するため,3つの点でつくられる三角形内角経緯儀 (セオドライト) やトランシットではかり,辺のうちの1つをあらかじめ基線測量で長さを決定しておき,その他の辺の長さと各頂点の位置を計算で求める方法。それらの地点を三角点 triangulation point,三点の間の観測される方向線で構成する三角形の集合を三角網 triangulation network (または鎖状のときは三角鎖 triangulation chain) という。オランダの W.スネリュース (1570~1626) が開発。日本では,測量誤差の累積を避けるため,全国 14ヵ所で基線測量を行なって基線を決定してあり,三角測量により基線を拡大して一等三角を形成していた。日本の三角測量には,三角形の目の粗さによって一等から四等までの三角点があり,それらを設けるための一~四等三角測量がある。一~四等三角測量の平均辺長は,それぞれ 45km,8km,4km,1.6kmである。一等三角測量では地球を球面と考えて測量する。一,二等三角測量では,水平角のみを観測して平面位置だけを決め,三等三角測量の段階で高低角も合せてはかり,高さを決定する。三角測量の精度は位置,高さとも±5~10cm程度。現在,日本では,従来の三角測量とは別に,測距儀を用い,三角形の3辺を直接測定する距離測量によって,三角形の内角を測定しない三辺測量による精密測地網測量が進行している。この測量で設けられる基準点は一次と二次の基準点といい,既設の三角点について測量し直すものである。電磁波測距儀の普及によって,辺の長さの測定のほうが,測量精度や経費の点で有利なので,三角測量は三辺測量によって取って代られるようになってきた。

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百科事典マイペディアの解説

三角法を応用し,主として三角形の内角の測定作業によって行う精度の高い測量方法。一国の地図作製など広地域の測量が必要とされるときに実施される。測量地域を適当な大きさの三角形の組合せで均等な密度でおおって行うが,これを三角網といい,各三角形の頂点を三角点という。角の測定は経緯儀で行う。角の測定で三角網の形は定まるが大きさは定まらないので,あらかじめ幾つかの三角形の一辺を選んで長さを実測しておく。これを基線測量という。日本では三角測量のため全国に332点の一等三角本点が水平位置を誤差約10cmの範囲で決定され,以下三角網を順次細分して二等,三等,四等三角網が設定されるとともに,平均辺長約4kmの基線が全国で14ヵ所おかれている。
→関連項目三角関数三角形視差測地衛星測地原点測距儀地図トラバース測量

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世界大百科事典 第2版の解説

地上に配置された複数の三角点を線分で結んで形成される網(三角網)において,各線分間の角(水平角)を測定して三角点の水平位置(経度緯度)を求める測量。地球上での三角点の位置は,旧来経度,緯度,高さの3量によりあらわされるのが普通である。高さが三角点の垂直方向の位置情報を与えるのに対して,経度と緯度は水平方向の位置を与える。三角測量はおもにこの水平位置を決定するための測量の一手法である。ある地区の三角点の位置を決める場合,まず,隣接する三角点を線分で結び三角網を形成する。

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大辞林 第三版の解説

地形図などを作成する際、精密に長さを測った基線と、その他いくつかの測点を設け、それらを結びつけることによって多くの三角形の網をつくり、三角法によって計算する測量法。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

地上の互いに見通せる3点を選んで三角形をつくり、その1辺の長さおよび2夾角(きょうかく)を測定して、三角法により他の2辺の長さや頂点の位置を求める古典的な測量法。三角形を多数接続させて広い範囲の測量を能率よく、かつ精度よく行える。このような三角形の集合を三角網というが、鎖状につないだ場合は三角鎖(さ)といい、広大な地域の骨組みとしての三角測量の場合に使われる。
 三角網あるいは三角鎖の測量では少なくとも1辺の長さを実測しておかねばならない。これを基線といい、この長さの測定には25メートルのインバール(温度によって伸び縮みしにくい合金)製の尺が用いられたが、1970年代には精密な電磁波測距儀により三角形の辺長が直接測定できるようになった。また少なくとも1点の地球上の位置と1方向の方位とは与えておかなければならず、これは天文測量により決定される。
 精密な三角測量では3内角を観測してその和を求め、観測誤差の点検調整を行うが、1辺が数十キロメートルに及ぶ地球上の三角形は球面三角となり、3内角の和は180度よりは多少大きくなる。これを球過量あるいは球面過剰といい、三角形の面積が100平方キロメートル(1辺の長さ約14キロメートル)の場合の球過量は約0.5秒、1辺の長さ約40キロメートルでは約8秒となる。
 三角網には一等、二等、三等、四等などの等級があり、しだいに細かい網をつくって上級の網のすきまを埋めていく。これらの網の調整計算には膨大な計算量が必要なので、適当な大きさの三角網群にくぎってそれぞれ別個に計算を行っていたが、1970年代にはコンピュータの利用により、日本全国をいちどきに調整計算することができるようになり、再計算もされた。また三角網が大きくなると、観測誤差が累積して網にねじれが生じるので、所々の三角点で天文測量を実施して、このねじれを規制する。この点をラプラス点という。1970年代以降、精密な電磁波測距と電子計算機による全国の厳密調整計算による再測も行われたが、1990年代以降はGPS衛星を用いた測量により三角網の再測が行われている。[尾崎幸男・辻 宏道]

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精選版 日本国語大辞典の解説

〘名〙 測量法の一種。適当な大きさの三角形を組み合わせて測量すべき地域をおおう骨組みとなる三角網を編成し、各頂角の大きさを実測して、計算により三角形の辺の長さ、方位角、頂点の座標を決定するという測量の方法。〔工学字彙(1886)〕

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