大南国史演歌(読み)だいなんこくしえんか(その他表記)Dai Nam Quoc Su Dien Ca

改訂新版 世界大百科事典 「大南国史演歌」の意味・わかりやすい解説

大南国史演歌 (だいなんこくしえんか)
Dai Nam Quoc Su Dien Ca

ベトナムのレ(黎)朝からグエン(阮)朝にかけて盛行したチュノムと漢字を混用して書かれた六八体と称する民族語詩で,ベトナムの歴史を歌ったもの。おおむね正史《大越史記全書》の記述によって古代のホンバン(鴻厖)朝から18世紀末のタイソン西山)朝までの歴史を2054行で歌っている。17世紀末に民族語によって書かれた最初の歴史長編詩《天南語録外紀》の流れを引くもので,グエン朝嗣徳11年(1858),《史記国語歌》の題名で伝わっていたこの書をレ・ゴ・カット(黎呉吉)らが校訂し,新たにレ朝の歴史を加えて《越史国語》1916行に改稿,その後これにファム・スアン・クエ(范春桂)が手を加えて《越史国語潤正》1887行の長編詩として成ったものに,さらにファム・ディン・トアイ(范廷倅)やファム・ディン・トック(范廷植)らが推敲修訂を加えて2054行の長編詩として完成し,1870年に板刻された。一般に中国語の散文をベトナム語の韻文に訳すことを演音といい,その作品演歌と称したが,当時,国を大南と号したところから《大南国史演歌》の名が付けられた。その韻律はグエン朝の演歌の中で特にみやびやかで明晰(めいせき)な語句を用いているものに数えられるが,本来,唱曲文芸としての性格をもつ演歌の中ではやや難解な作品とされる。
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