日本の城がわかる事典 「大友氏館」の解説 おおともしやかた【大友氏館】 大分県大分市顕徳町にあった、豊後(ぶんご)国の領主大友氏の居館。中世に豊後の守護となった大友氏泰(うじやす)は、現在の市街地東部、大分川の河口付近に館を構え、この館を中心とする大友氏の城下町は府内と呼ばれた。最盛期には九州一円を支配した大友宗麟(そうりん)は、キリスト教を厚く保護し、明との貿易や南蛮貿易を行い、府内は貿易港として栄え南蛮文化が花開いた。しかし、1586年(天正14)の島津家久の侵攻の際に焼き討ちに遭い、壊滅したとされる。1990年代後半から行われている発掘作業では、15世紀から16世紀にかけての大型の建物の存在が推定されており、周囲からは貿易によってもたらされた華南や東南アジアの多数の陶磁器、キリシタンの遺物であるコンタツ(ロザリオ)やメダイ(メダル)が出土。陶磁器の多くには炎熱の痕が認められ、大友氏館周辺が焼き払われたことを物語っている。JR大分駅から徒歩約20分。 出典 講談社日本の城がわかる事典について 情報