大宝沼(読み)だいほうぬま

日本歴史地名大系 「大宝沼」の解説

大宝沼
だいほうぬま

現下妻市中央部、沼の東にあった沼。下妻台地に入込んだ谷地が、鬼怒きぬ川旧河道によりふさがれて生じた。沼の東の台地には古代から大宝八幡宮が鎮座し、中世には大宝城が築かれていたが、南北朝争乱の頃、沼の北にあったせき(現真壁郡関城町)と大宝城との往来には船を用いたともいわれ、往時は諸人の来遊も多かったと伝えられる。

農業用水としても利用され、江戸時代から明治時代にかけて台地と小貝こかい川間に造成された水田の重要な水源地であったが、明治四一年(一九〇八)に小貝川上流の黒子くろご(現関城町)地内の新堰から九・三キロに及ぶ用水路を台地沿いに南流させたため、用水としての役割は低下し、大正二―九年(一九一三―二〇)に干拓され、一千四一四町四反余の水田が造成された。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

世界大百科事典(旧版)内の大宝沼の言及

【大宝城】より

…1341年(興国2∥暦応4)春日顕国は興良親王を奉じ,城主下妻政泰に迎えられて,この城に入る。以後2年にわたる激戦のすえ43年11月,大宝沼北岸の関城とともに落ち,城主政泰は戦死した。翌年3月,春日顕国はこの城を奪い返すが,わずか1日で足利方の手に落ちた。…

※「大宝沼」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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