大山廃寺跡(読み)おおやまはいじあと

国指定史跡ガイド 「大山廃寺跡」の解説

おおやまはいじあと【大山廃寺跡】


愛知県小牧市大山にある寺院跡。標高200mほどの山中に位置し、奈良時代~中世の7世紀後半に創建された山岳寺院で、一時は「西の延暦寺、東の大山寺」と称されるほど隆盛をきわめたが、1152年(仁平2)に比叡山延暦寺と三井寺(みいでら)(園城寺(おんじょうじ))との間に起きた法論の際、三井寺の僧徒によって襲撃され、寺は跡形もなく焼き尽くされた。現在は僧坊があったとみられる平らな場所に、塔心礎を中心として17個の礎石が残り、同寺と縁がある児(ちご)神社の境内から、その後、平安時代の掘立柱建物3棟と中世の礎石建物2棟が発掘された。一帯からは、白鳳~奈良時代の瓦や古瀬戸などの陶磁器なども多数発見され、これらの遺物は小牧市歴史館に展示・保存されている。1929年(昭和4)に国の史跡に指定されたが、その後の調査で塔以外の堂宇の存在が確認され、1980年(昭和55)に塔跡から名称変更され、寺域全体が追加指定された。名鉄小牧線小牧駅からこまき巡回バス「児島神社前」下車、徒歩約20分。

出典 講談社国指定史跡ガイドについて 情報