改訂新版 世界大百科事典 「大洋底変成作用」の意味・わかりやすい解説
大洋底変成作用 (たいようていへんせいさよう)
oceanfloor metamorphism
大西洋中央海嶺や東太平洋海膨の中央のリフト帯で起こる低圧力下での変成作用。広域変成作用や接触変成作用と同様に地質学的に分類した変成作用の名称である。大西洋中央海嶺や東太平洋海膨などの中央海嶺は海洋プレートの生産される場所と考えられている。そこでは表面熱流量が大きく,地下の温度も著しく高い。このため海嶺の海洋地殻は比較的浅い所でも再結晶するほど十分に温度が高い。また水分も多数の正断層にそって地殻内部にもたらされている。このため低圧高温型の変成作用が起こっている。実際,海嶺付近の海底谷から採取された岩石は,玄武岩質の片理のない緑色片岩や角セン岩である。大洋底変成作用でできた変成岩は広域的に形成されているが,広域変成岩のような片理や片麻状組織はもたない。このため火山岩の組織を残しながら角セン岩化している場合が多い。
執筆者:鳥海 光弘
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報