結晶片岩に特徴的にみられる構造で,これによって岩石は薄く平行にはがれやすくなる。雲母,緑泥石,滑石などの板状鉱物が平行に配列したり,角セン石,緑レン石などの柱状結晶が平面状に配列することによってできる。広域変成岩が力を受けたとき,その方向(正確には最大圧縮ひずみの主軸の方向)に直交する方向に結晶が成長したり,粒子が回転したりして形成されると説明されてきた。しかし,片理面は層理面とほぼ平行なものが多く,一般に傾斜もゆるいため,層理面に沿う既存の鉱物が再結晶時にさらに成長したりして,層理面を模写するように鉱物が配列してできたものと思われる。最近では,典型的な結晶片岩といわれる石英に富む薄層と雲母に富む薄層との極微細互層も,変成分化作用によって石英の分結脈を生じたのではなく,もともとチャートと泥岩の極微細互層(チャートラミナイト)であったとする説もでている。このように,既存の異方性の面をなぞる変成作用を模写変成作用ともよぶ。
執筆者:岩松 暉
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変成岩において、ある特定の鉱物が面状に集中配列したために生ずる、著しい定方向組織。とくに、雲母(うんも)や緑泥石のような鱗片(りんぺん)状鉱物が底面を平行にして配列する場合や、角閃(かくせん)石のような柱状鉱物が伸長方向を平行にして配列する場合には、岩石に顕著な片理が生ずる。とくに前者のような場合には、片理のみならず、岩石が片理の方向に割れやすい性質を示す。この性質を、岩石の劈開(へきかい)という。片理は比較的低温な条件の下における広域変成作用を受けた岩石、すなわち結晶片岩にもっともよく現れる。これは、そのような条件下では変成再結晶における変形作用の効果が著しいため、雲母、緑泥石、角閃石などの特殊な晶癖をもつ鉱物の定向配列が生じやすいからであるといわれている。なお、片理は、岩石の層理と平行に生じることが多いが、そうでなく、両者が大きな角度で交わる例も少なくない。
[橋本光男]
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