東太平洋海膨(読み)ヒガシタイヘイヨウカイボウ(その他表記)East Pacific Rise

デジタル大辞泉 「東太平洋海膨」の意味・読み・例文・類語

ひがしたいへいよう‐かいぼう〔ひがしタイヘイヤウカイバウ〕【東太平洋海膨】

太平洋南東部をほぼ南北にのびる広大な海底の高まり。位置は東に偏っているが、太平洋の中央海嶺に当たる。他の中央海嶺に比べて海嶺部の幅が広く、比較的なだらかなので海膨とよばれる。東太平洋海嶺

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ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「東太平洋海膨」の意味・わかりやすい解説

東太平洋海膨
ひがしたいへいようかいぼう
East Pacific Rise

太平洋南東部にある長大な海底火山の連なりで,南アメリカ大陸西岸とほぼ並行して走る海膨。地球上の大洋底を連続的に取り巻き,新しい海底,すなわち海洋プレートを生み出す中央海嶺の一部を構成し,東太平洋海嶺 East Pacific Ridgeとも呼ばれる。海膨の主要部分は大陸沿岸から約 3200km付近を走り,北はカリフォルニア湾の湾口付近まで延びて,そこで太平洋プレートと北アメリカプレートがすれ違うトランスフォーム断層につきあたる。南端南緯 55°,西経 130°付近にあり,ニュージーランド南方南極大陸に向かって西南西に延びる太平洋‐南極海嶺とつながっている。海膨は見かけゆるやかで平坦であるが,へり部分は急斜面をなす。おもに火成地殻からなり,堆積物が表面を覆っているか,隣接しているかしている。周囲の海洋底との比高は 1800~2700mで,およそ 320kmごとにトランスフォーム断層を含む断裂帯によって大きく破砕されている。太平洋プレートの東側・南側と,北アメリカプレート,ココスプレートナスカプレート南極プレートとの間に位置する東太平洋海膨では,マントルから上昇してきた玄武岩質のマグマが冷やされ,新たにできた海洋プレートが海膨の割れ目を境に左右へ拡散していく。その速度はペルーチリの沖合いで年間約 16cmと速く,カリフォルニア湾湾口では年間約 6cmとなる。さまざまな硫化鉱物を含んだ熱い海水が湧昇する熱水噴出孔が数多くあり,そこでは硫酸還元菌による分解を通じて生命を維持する生物群集もみられる。(→プレートテクトニクス

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改訂新版 世界大百科事典 「東太平洋海膨」の意味・わかりやすい解説

東太平洋海膨 (ひがしたいへいようかいぼう)
East Pacific Rise

東南太平洋の西経100~120°の間をカリフォルニア湾(北緯20°付近)からエルタニン断裂帯(南緯55°付近)までほぼ南北に走る大洋中央海嶺で,大西洋中央海嶺などに比べて拡大速度が3倍以上(6~7cm/年)であるために,見かけの勾配がゆるく,海膨と呼ばれた。山頂の水深は2600~3000mほどで,中軸谷大西洋のように大規模なものはない。1978年のアルビンAlvin(アメリカ)とシエナCyana(フランス)の潜航調査によって銅,亜鉛,ニッケルコバルトなどの重金属に富む熱水が中軸部の海底に噴出して硫化物を沈積し,そのまわりには硫黄バクテリアを食べる動物をもとにした底生動物集落が形成されていることが発見された。周辺には深海性ソレアイト質玄武岩の枕状溶岩の露頭が各所に見られた。中軸部の海底直下数百mの所に幅1kmのマグマだまりが存在するらしいことも海底地震計,海底重力観測によって判明した。
海嶺
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最新 地学事典 「東太平洋海膨」の解説

ひがしたいへいようかいぼう
東太平洋海膨

East Pacific rise

太平洋の南東部を南北に延びる大洋中央海嶺の一つ。カリフォルニア湾から55°S付近のヒーゼン断裂帯まで延長8,400km,西側の太平洋プレートと東側のココス,ナスカ,南極プレートを隔てる。ヒーゼン断裂帯からマッコーリー三重点までの太平洋南極海嶺を東太平洋海膨に含めることもある。海嶺軸と2,000km離れた麓部との比高1.5kmという緩やかな山容から,海膨と呼ばれる。拡大速度は14°S~33°Sで14〜16cm/年,南北両端付近で7〜9cm/年。10本の主要なトランスフォーム断層と19の重複拡大軸で分断される。9°N,12°N〜13°N,14°S〜20°Sでは軸部の地形的セグメンテーションと対応して拡大軸下0.7〜1.7km以深にマグマ溜りがある。マグマ溜り頂部の深度は拡大速度,第2A/2B層厚比と逆相関する。軸上には軸部トラフ(axial trough)と呼ばれる浅い地溝が存在することがある。軸部と軸麓は主としてロベイト溶岩,傾斜地は枕状溶岩が卓越する。

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参照項目:大洋中央海嶺

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「東太平洋海膨」の意味・わかりやすい解説

東太平洋海膨
ひがしたいへいようかいぼう

太平洋の中央海嶺(かいれい)にあたる広大な海底の隆起。位置は太平洋中央部より著しく東に偏っている。幅2000~4000キロメートル、比高2000~3000メートルだが、地形は比較的なだらかで、中軸谷も明瞭(めいりょう)でないので、海膨または海丘とよばれている。南アメリカ大陸沖からメキシコにかけては典型的な海膨の姿をみせているが、北部では東半分が北アメリカ大陸と重なっていて、全容をみることができない。カリフォルニア湾から北は断続的になるが、延長部はファン・デ・フーカJuan de Fuca海嶺を経て、アラスカ湾まで追跡することができる。南部は太平洋・南極海嶺に連なっている。

[勝又 護]

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世界大百科事典(旧版)内の東太平洋海膨の言及

【海底地形】より

… 離れるプレート境界ではアセノスフェアが海底近くまで上昇し,中央海嶺を形成する。中央海嶺は,北極海,大西洋,インド洋などの大洋のほぼ中央に連なる海底の大山脈で,太平洋では南東部に走る東太平洋海膨となっている。中央海嶺下のアセノスフェアは圧力低下のためにマグマを生じ,海嶺中軸部では火山活動や地下での貫入が起こる。…

【海嶺】より

…中軸沿いに浅い地震の列が観測され,海底が生成・拡大しつつあることが明瞭な大洋中央海嶺mid‐oceanic ridgeと,地震活動の列がみられず,中軸部の岩石の年齢も古い非活動海嶺aseismic ridgeとに分けられる。太平洋の南東部に見られる長大な高まりはこう配が比較的ゆるく,起伏もなめらかなので東太平洋海膨とよばれるが,成因的にはこれも大洋中央海嶺の一種である。 大洋中央海嶺の中軸部には中軸谷をもつもの(大西洋中央海嶺,インド洋中央海嶺)ともたないもの(東太平洋海膨,レイキャネス海嶺)がある(図2)が,いずれにもきわめて若い深海性ソレアイトとよばれる玄武岩の枕状溶岩が露出している。…

※「東太平洋海膨」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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