大物御厨(読み)だいもつのみくりや

日本歴史地名大系 「大物御厨」の解説

大物御厨
だいもつのみくりや

平安時代末期に長洲ながすの南に形成された新地大物に所在した京都賀茂御祖かもみおや(下鴨社)領の御厨。賀茂社では長洲地続きである大物を同社領の長洲御厨の内と主張し、その根拠として久安年間(一一四五―五一)に源為義が大物を押領しようとした際に同社の申請によってこれを禁ずる宣旨が下されたことをあげ(年未詳「大物浜・長洲浜請文」真福寺文書)奈良東大寺との対立を引起している。この時点では賀茂社は大物を長洲御厨内と主張するにとどまっていたが、正和元年(一三一二)に長洲御厨などに対する東大寺僧澄承の濫妨狼藉を訴えた申状では「長洲・大物・尼崎三箇御厨」と述べており、大物御厨を長洲御厨とは別個の御厨として取扱い、その領有を主張するようになっている(同年六月日「鴨御祖太神宮社司等重申状案」東大寺文書)

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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