大窪台銅矛出土地(読み)おおくぼだいどうほこしゆつどち

日本歴史地名大系 「大窪台銅矛出土地」の解説

大窪台銅矛出土地
おおくぼだいどうほこしゆつどち

[現在地名]宇和町久枝

宇和盆地南端に西方から突出して、宇和川流域を展望しうる久枝の日吉ひさえだのひよし神社背後の大窪台山塊の頂(標高三六〇メートル、比高一四〇メートル)の地。

「宇和旧記」に寛文八年(一六六八)正月、大窪台で銅矛五口が掘り出され、近くに山王社の跡があるので山王の鉾と思い、銅矛を神体として小祠を祀ったとある。日吉神社の棟札からは享保一四年(一七二九)に銅矛一五口を掘り出したことがわかる。宇和町に現存する広形銅矛二口と中広銅矛一口は、江戸時代に掘り出されたものと察せられる。

これら銅矛は弥生中期末―後期初頭(紀元二〇〇年頃)の農耕共同体の祭礼儀器と思われ、しかもこの数に対応する共同体がこの周辺に存在していたとも考えられ、宇和盆地の弥生中期末葉の生産活動がかすかながらも想像される。

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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