日本大百科全書(ニッポニカ) 「日吉」の意味・わかりやすい解説
日吉(愛媛県)
ひよし
愛媛県南部、北宇和郡にあった旧村名(日吉村(ひよしむら))。現在は鬼北町(きほくちょう)の北東部を占める一地域。2005年(平成17)広見(ひろみ)町と合併、鬼北町となる。旧村域は、広見川の上流域に位置する山間地帯で、南東を高知県の北幡(ほくばん)地方と接する。国道197号、320号が通じる。日吉の名は日吉権現(ごんげん)社に由来する。近世に宇和島藩から支藩の吉田藩に割譲され、大山奥とよばれる僻地(へきち)であったが、土佐(高知県)とは峠越えの道があった。焼畑が多かったが、現在ではスギ、ヒノキの生産やクリの栽培が多い。節安(せっつやす)は集落移転で1973年(昭和48)以降廃村となった。
[横山昭市]
『『日吉村誌』(1968・日吉村)』
日吉(鹿児島県)
ひよし
鹿児島県西部、日置郡(ひおきぐん)にあった旧町名(日吉町(ちょう))。現在は日置市の中央部を占める。旧日吉町は1955年(昭和30)日置、吉利(よしとし)の2村が合併して町制施行。頭文字を重ねて町名とした。2005年(平成17)伊集院(いじゅういん)町、東市来(ひがしいちき)町、吹上(ふきあげ)町と合併、市制施行して日置市となった。近世は薩摩(さつま)藩外城(とじょう)制下の郷で、麓(ふもと)集落が置かれた。東シナ海に臨む西部は吹上浜(ふきあげはま)県立自然公園の一部をなす砂丘地帯、内陸部はシラス台地と中生層の丘陵地。米、ミカン、タバコなどのほか肉牛やブロイラーなど畜産が盛ん。明治以来日置瓦(がわら)の産地で知られるが最近はやや低調。ほかに漁網生産がある。日置八幡(はちまん)神社では、毎年6月の田植祭に泥まみれになって豊作を祈願する奇祭「せっぺとべ」(精いっぱい跳べ)が行われる。
[白石太良]
『『日吉町郷土史』(1973・日吉町)』▽『『日吉町郷土誌 上巻』(1982・日吉町)』
日吉(京都府)
ひよし
京都府中央部、船井郡(ふないぐん)にあった旧町名(日吉町(ちょう))。現在は南丹市(なんたんし)の中西部を占める一地区。旧日吉町は1955年(昭和30)世木(せぎ)、五ヶ荘(ごかしょう)、胡麻郷(ごまごう)の3村が合併、町制を施行して成立。2006年(平成18)園部(そのべ)、美山(みやま)、八木(やぎ)の3町と合併、市制施行して南丹市となる。丹波(たんば)高地のほぼ中央に位置する山間地。JR山陰本線が通じる。北西に古代胡麻牧が置かれた小盆地があり、北流する由良(ゆら)川水系と、南流する大堰(おおい)川水系との平地分水界をなしている。日吉ダムの完成によって、大堰川に沿う一部の地区が水没した。農林業を主とし、酪農、シイタケ栽培などが行われる。過疎化が進んでいる。
[織田武雄]
『『日吉町誌』全2巻(1987~1990・日吉町)』