朝日日本歴史人物事典 「大蔵九郎能氏」の解説
大蔵九郎能氏
生年:永享12?(1440)
室町中期の大鼓役者。もともとは金春座付きの大鼓方であったが,のちに観世座に移籍させられ,6世観世大夫元広(のち道賢)のときに活躍する。観世信光の弟子と伝えられ(『四座役者目録』),信光から能氏に相伝された旨を記す伝書も現存する。囃子方の最高の名誉である浅葱の調べ緒を許されるほどの名手で,自身も弟子に幾つか伝書を書き与えている。大鼓方は他流も能氏の弟子筋から分かれていることを考えると,大鼓全体の祖とも呼ぶべき人物である。
(石井倫子)
出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報