改訂新版 世界大百科事典 「石山本願寺日記」の意味・わかりやすい解説
石山本願寺日記 (いしやまほんがんじにっき)
戦国期の本願寺関係者の日記類3種と書状控類2種を収録した史料集。1930年上松寅三編纂校訂で出版(2巻),66年索引付で復刻。上巻は10代宗主の《証如上人日記》を収録。これは《天文(てんぶん)日記》とも称され,1530-50年代の本願寺教団や一向一揆および畿内政情を知る上での第一級史料。下巻は(1)《証如上人書札案》,(2)《私心記》,(3)11代の《顕如上人文案》,(4)《宇野主水(もんど)日記》を収録。(1)は1530-50年代の権門諸家あての控1068通。(3)は1560-80年代の同229通。(2)は8代蓮如の末子実従の日記で,年次的に上巻の前後を補い,内容的に本願寺の行事や一門衆の記述に詳しい。(4)は顕如右筆の1580年代(鷺森・貝塚本願寺期)の記録。(4)以外はほぼ石山本願寺期のもの。おもに竜谷大学蔵写本類を底本とした同史料集は,1979年原本,善本とを再対照した《真宗史料集成》3の刊行により,その役割を終えた。
執筆者:金龍 静
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報