浅葱(読み)アサギ

デジタル大辞泉 「浅葱」の意味・読み・例文・類語

あさ‐ぎ【浅×葱】

《薄いネギの葉の色の意。「葱」を「黄」と混同して「浅黄」とも書く》
緑がかった薄い藍色あいいろ
《着用するほうの色が浅葱であるところから》六位の人の称。
浅葱裏あさぎうら」の略。
浅葱幕あさぎまく」の略。
[類語]真っ青青色せいしょくあい青藍せいらん紺青こんじょう紺碧こんぺき群青ぐんじょう瑠璃るりはなだ花色露草色納戸色水色空色ブルーインジゴコバルトシアンウルトラマリンマリンブルースカイブルーターコイズブルー

あさ‐つき【浅×葱/糸葱】

ヒガンバナ科の多年草。地下茎はラッキョウに似る。葉は淡緑色の筒状でネギに似る。食用として栽培。せんぼんわけぎ。せんぶき。 春》「―よ香をなつかしみ妹が里/紫里」
葉ネギを若いうちに収穫したもの。小葱。
[類語]ねぎ葱坊主分葱わけぎ

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精選版 日本国語大辞典 「浅葱」の意味・読み・例文・類語

あさ‐ぎ【浅葱・浅黄】

  1. 〘 名詞 〙
  2. [ 一 ] ( 薄いネギの葉の色の意。葱を黄と混同して浅黄と書く場合も多い )
    1. 緑がかった薄い藍色。うすあお。しらあお。
      1. [初出の実例]「二藍の直衣、指貫、あさきの帷子をぞすかし給へる」(出典:能因本枕(10C終)四二)
      2. 「浅黄なる張単(はりひとへに)(あやし)の袴着て」(出典:今昔物語集(1120頃か)二四)
    2. ( 着用する袍(ほう)の色が浅葱であるところから ) 六位の称。
      1. [初出の実例]「皆おのおの加階し昇りつつおよずけあへるに、あさぎをいとからしとおもはれたるに、心ぐるしく侍るなり」(出典:源氏物語(1001‐14頃)乙女)
    3. あさぎうら(浅葱裏)」の略。
      1. [初出の実例]「シテワキで浅黄の通る花の山」(出典:雑俳・柳多留‐八(1773))
    4. あさぎまく(浅葱幕)」の略。
    5. あさぎわん(浅葱椀)」の略。
      1. [初出の実例]「菓子縁高、〈柿、羊肝、饅頭、柿、油餠〉御器何もあさき」(出典:鹿苑日録‐慶長一一年(1606)三月二八日)
    6. ひかえめにあっさりすること。また、そのさま。
      1. [初出の実例]「何ごともさらりっとあさぎにいふていよいやい」(出典:浄瑠璃・心中重井筒(1707)上)
    7. 不粋であること。野暮。
      1. [初出の実例]「女郎も本は素人なり、粋も本は浅黄(アサキ)なり」(出典:洒落本・風俗問答(1776))
  3. [ 二 ] ( 浅黄 )
    1. 浅く染めた黄色。
      1. [初出の実例]「雑染用度〈略〉浅黄綾一疋〈略〉苅安草大三斤八両、灰一斗二升、薪卅斤」(出典:延喜式(927)一四)
    2. あさぎざくら(浅黄桜)
      1. [初出の実例]「みあれ山の桜は、あさぎなるもありて、しかもおそく咲きそろへば、ことやうの見ものなり」(出典:歌林四季物語(1686)四)

あさ‐つき【浅葱・糸葱】

  1. 〘 名詞 〙 ( 「あさづき」とも )
  2. ユリ科の多年草。中国および日本原産。山野に生えるが、野菜としても栽培する。高さ約三〇センチメートル。形状はラッキョウに似る。地下に長卵形で、薄い紅紫色の鱗茎(りんけい)がある。葉は長さ約二〇センチメートルの細い中空の円柱状。初夏、花茎の頂に淡紫色の小花を半球形につける。葉や茎はネギの代用、鱗茎はきざんで薬味に用いる。せんぼんわけぎ。せんぶき。《 季語・春 》
    1. [初出の実例]「嶋蒜 楊氏漢語抄云嶋蒜〈阿佐豆木 式文用之〉」(出典:十巻本和名抄(934頃)九)
    2. 「二月〈略〉あさつき にら 青からし」(出典:俳諧・毛吹草(1638)二)
  3. あさつきなます(浅葱膾)」の略。
    1. [初出の実例]「あさつきはあいそつかしの鱠也」(出典:雑俳・川傍柳(1780‐83)一)
  4. 植物「のびる(野蒜)」の異名

あさ‐ずき‥づき【浅葱】

  1. 〘 名詞 〙あさつき(浅葱)

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「浅葱」の意味・わかりやすい解説

浅葱
あさぎ

薄い葱(ねぎ)の色という意味であるが、実際には薄青、薄藍(あい)、薄緑、水色などをさす。日本語の色の称呼では、青(blue)と緑(green)が「あお」に一括され、はっきりしないことが多く、この薄青を浅緑(あさみどり)ということもある。平安時代から用いられた色名で、服制上では六位以下の袍(ほう)の色であるところから、六位の袍または六位の官人を浅葱といったこともある。江戸時代には田舎(いなか)侍が、小袖(こそで)の裏に浅葱木綿をつけたことから、これに対する一種の蔑称(べっしょう)として浅葱裏、または浅葱などともいった。慣用では浅黄と書かれることが多いが浅黄(うすき)(浅い黄色)の意味ではない。

山辺知行

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動植物名よみかた辞典 普及版 「浅葱」の解説

浅葱 (アサツキ・アサズキ)

学名Allium schoenoprasum var.foliosum
植物。ユリ科の多年草,園芸植物,薬用植物

出典 日外アソシエーツ「動植物名よみかた辞典 普及版」動植物名よみかた辞典 普及版について 情報

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