大谷幸蔵(読み)おおたに・こうぞう

朝日日本歴史人物事典 「大谷幸蔵」の解説

大谷幸蔵

没年:明治20.4.6(1887)
生年:文政8.5(1825)
幕末・明治期の蚕種商。信濃国更級郡羽尾村(長野県戸倉町)の有力農家に巳代蔵・コノの子として生まれる。幼くして父をなくしたうえ,若気によって博徒となり,大谷家は没落寸前となった。思い直して家を再興するため,地元で産出された紬織物の商いを始め,江戸に売り込んだ。屋号を大黒屋と称し,松代藩の専売制実施の際にも登用された。開港後,蚕種取引に乗り出し,明治3(1870)年から同13年まで4回イタリアに渡って蚕種販売を試みた。同3年の洋行中,松代騒動が発生し,藩側の立場にあったため自邸も農民の焼き打ちにあった。商才にたけていたが,晩年は不遇であったといわれ,またさまざまに評価されている人物である。<参考文献>尾崎章一『蚕界偉人大谷幸蔵』,吉永昭「松代商法会社の研究」(『社会経済史学』23巻3号),『信濃蚕糸業史』上

(松村敏)

出典 朝日日本歴史人物事典:(株)朝日新聞出版朝日日本歴史人物事典について 情報

デジタル版 日本人名大辞典+Plus 「大谷幸蔵」の解説

大谷幸蔵 おおたに-こうぞう

1825-1887 幕末-明治時代商人
文政8年5月生まれ。信濃(しなの)(長野県)の農家に生まれ,江戸で紬(つむぎ)を販売して成功をおさめ大黒屋と称した。明治2年松代商法会社を創設して蚕種業をおこす。4度イタリアにわたって,蚕種輸出につくした。明治20年4月6日死去。63歳。

出典 講談社デジタル版 日本人名大辞典+Plusについて 情報 | 凡例

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