大野本庄・大野新庄(読み)おおののほんしよう・おおののしんしよう

日本歴史地名大系 「大野本庄・大野新庄」の解説

大野本庄・大野新庄
おおののほんしよう・おおののしんしよう

大野本庄は「和名抄」記載の那賀なか大野郷の遺称地とされる現上大野町・中大野町・下大野町付近に比定される。また大野新庄は元亨二年(一三二二)八月一八日の渋谷静重譲状(入来文書)に「阿波国大野新庄立江内」とあることから、那賀川左岸の現うら岩脇いわわき付近から小松島市立江たつえ町付近に比定される。

平治元年(一一五九)閏五月日の宝荘厳院領庄園注文案(東寺百合文書)大野庄とみえ、宝荘厳ほうしようごん(現京都市左京区)を本家、藤原季行を領家とする庄園で、年貢として米二五六石四斗三升と油四石二斗四升九合を納めていた。季行は大治五年(一一三〇)阿波守に補任されており、その在任中である長承元年(一一三二)鳥羽上皇によって建立された御願寺である宝荘厳院への寄進に関与していたため、領家職を保持することになったものと思われる。ところが元久元年(一二〇四)八月二三日の九条兼実処分状(九条家文書)によると大野庄はすでに大野本庄・大野新庄とに分れていた。また祖母尼公(季行の娘、九条兼実妻の母)の所領であったが、先年尼公が病気になった後に孫良経に譲られることが定められていたという。領家職はその後良経からその子道家、さらにその子一条実経に譲られた(建長二年一一月日「九条道家惣処分状」同文書)

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

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