阿南市(読み)アナンシ

デジタル大辞泉 「阿南市」の意味・読み・例文・類語

あなん‐し【阿南市】

阿南

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日本歴史地名大系 「阿南市」の解説

阿南市
あなんし

面積:二五二・二一平方キロ(境界未定)

徳島県の南東部に位置する。東は紀伊水道に面する海岸線で、北は那賀なか那賀川なかがわ町・同郡うら町・小松島市、西は勝浦かつうら郡勝浦町・那賀郡鷲敷わじき町、南は那賀郡相生あいおい町・海部かいふ日和佐ひわさ町・同郡由岐ゆき町と接する。西は太龍寺たいりゆうじ(六一八メートル)を盟主として矢筈やはず山・じようまる山など標高五〇〇―七〇〇メートル級の山地に取囲まれる。南は東側が太平洋に面した見事な荒磯を形成しているが、西側は明神みようじん山や後世ごぜ山など三〇〇―五〇〇メートルの尾根が続く。山と海に囲まれた平野部の北を那賀川が、中央部を桑野くわの川が、南部を福井ふくい川・椿つばき川が流れている。高温多湿の気候で作物などはよく育ち、山の幸、野の幸、海の幸のすべてに恵まれる。産業は中央平野部の水田を中心に県の穀倉地帯の一部を形成し、特産物として西部・南部の山間地ではタケノコ、ミカン、スダチを多産する。海岸に沿う中林なかばやし大潟おおがたたちばな椿泊つばきどまりなどは県を代表する漁業地であったが、新産業都市化計画以来の工場立地と漁業の不振により水産加工業へ移行しつつある。漁業ではハマチなど海での養殖のほかに、内陸部でも鮎の養殖が盛んである。一方、辰巳たつみ町・豊益とよます町・大潟町・津乃峰つのみね町・橘町などでは旧新田・塩田跡を利用した工業団地の開発が高度成長期以後も引続き進められている。さらに橘湾を新たに埋立し西日本最大級の火力発電所も建設された。また海面だけでなく、稲作の抑制政策から水田を化学工場へ転用する事例も長生ながいけ町などの内陸部でみられる。鉱業では石灰岩の豊富な含有量を誇り、近代建築の用材として安定した需要をもっている。商業地では日開野ひがいの町・領家りようけ町・宝田たからだ町など郊外の旧水田地域に大型の店舗が建設され、昭和五〇年代以降旧商業地から新商業地への著しい移動がみられる。用地買収の利便から総合病院も郊外に建設されている。室戸阿南むろとあなん海岸国定公園に指定された海岸線には淡島あわしま北の脇きたのわきの海水浴場、中林・あこめのキャンプ場があり、また釣場として陸釣・船釣・磯釣など多彩である。四国霊場の札所として二一番太龍寺・二二番平等びようどう寺がある。

〔原始・古代〕

市域には現在約八〇ヵ所の遺跡の存在が知られている。これらの遺跡は主として那賀川と桑野川の流域に分布する。両河川の河口域である平野部では全般に調査数が少ないためか遺跡数も乏しい。したがって知られる遺跡の性格にも偏りを生むことになる。年代からみると旧石器時代の桑野町廿枝はたえだ遺跡以降、古代・中世に至るまでの幅広い年代の遺跡が含まれている。

阿南市
あなんし

2006年3月20日:阿南市が那賀郡那賀川町羽ノ浦町を編入
【那賀川町】徳島県:那賀郡
【羽ノ浦町】徳島県:那賀郡
【阿南市】徳島県

出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「阿南市」の意味・わかりやすい解説

阿南〔市〕
あなん

徳島県東部,那賀川の下流域にある市。東部は紀伊水道に臨む。1958年富岡町と町が合体して市制。2006年那賀川町,羽ノ浦町の 2町を編入。北部の富岡地区は阿南市の中心市街地で那賀川の河口近くにあり,藩政時代の城下町で,商業の中心地として発展。南部の橘地区は,阿波松島といわれる風光明媚な橘湾に面した一漁村であったが,1964年新産業都市の指定を受け,湾奥の埋立地に火力発電所が設置され,電機工場が進出。内陸の桑野から新野 (あらたの) にかけた地域は,たけのこ産地として有名。西部に四国八十八ヵ所の第21番札所太龍寺,第22番札所平等寺があり,太龍寺のある太龍寺山一帯は東山渓県立自然公園に属する。橘湾以南の海岸は室戸阿南海岸国定公園に属し,橘湾内の弁天島には国指定天然記念物の熱帯性植物群落がある。橘湾と阿波三山の一つ津峯山(284m)を結ぶ津峯スカイラインも完成。八桙神社 (はちほこじんじゃ) は国指定重要文化財を多数有し,新野に伝わる阿波人形浄瑠璃は国の重要無形民俗文化財に指定されている。JR牟岐線,国道55号線,195号線が通じる。面積 279.25km2。人口 6万9470(2020)。

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