大陸合理論(読み)たいりくごうりろん

日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

大陸合理論
たいりくごうりろん

一般に非理性的、経験的、偶然的なものを排し、理性的、論理的、必然的なものを尊重する立場。理論的にも実践的にも理性によっていっさいを割り切ろうとする立場を合理論、理性論、理性主義rationalismとよぶが、哲学史上とくに知識の起源の問題に関して、イギリス経験論が人間の心は「白紙」tabula rasa(ラテン語)のようなものであり、いっさいの知識は経験に由来すると主張するのに対して、すべての確実な知識は生得的で明証的な原理に由来すると説く立場を大陸合理論とよぶ。
 デカルトを筆頭にスピノザ、ライプニッツ、ウォルフらがこの流れに属するが、感覚的認識を混乱したものとして軽視し、数学的真理を原型とする論証的知識を重んずるのがその一般的傾向である。このイギリス経験論と大陸合理論との対立は、カントの批判哲学によって止揚されたというのが、いちおう哲学史の常識である。つまり、われわれの認識が「経験とともに始まる」からといって、かならずしも「経験から生ずる」わけではない、人間理性には先天的形式があってそれによって初めて普遍妥当的な認識に到達することができる、というのである。[坂井昭宏]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例

世界大百科事典内の大陸合理論の言及

【イギリス経験論】より

…多くの場合,大陸合理論と呼ばれる思想潮流との対照において用いられる哲学史上の用語。通常は,とくにロックG.バークリーD.ヒュームの3人によって展開されたイギリス哲学の主流的傾向をさすものと理解されている。…

※「大陸合理論」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社世界大百科事典 第2版について | 情報

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