日本歴史地名大系 「天峠」の解説 天峠てんつじとうげ 奈良県:吉野郡大塔村簾村天峠西吉野村と大塔村との境にある峠。標高約八〇〇メートル。吉野川流域から十津(とつ)川流域へ出るかつての西熊野街道(現国道一六八号)は天辻峠の鞍部を越える。両流域を結ぶ最短距離で、峠は街道中の最難所とされた。昔は北の大日川(おびかわ)村(現西吉野村)から丹生(にう)川と離れ急坂を上り、永谷(えいたに)村(現西吉野村)を経て天辻峠へ直線的に通じ、峠を越えると南へ急転直下して坂本(さかもと)村(現大塔村)まで三五〇メートル下るのである。南北に通る主道から北西の富貴(ふき)村(現和歌山県伊都郡高野町)や南東の現天川(てんかわ)村方面への道が分岐しているので、峠付近の集落天(てん)ノ川辻(かわつじ)は物資の集散地となり、問屋や旅館などもできた。 出典 平凡社「日本歴史地名大系」日本歴史地名大系について 情報 Sponserd by