天狗廻状(読み)テングカイジョウ

デジタル大辞泉 「天狗廻状」の意味・読み・例文・類語

てんぐかいじょう〔テングクワイジヤウ〕【天狗廻状】

半井桃水時代小説。明治40年(1907)発表

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日本大百科全書(ニッポニカ) 「天狗廻状」の意味・わかりやすい解説

天狗廻状
てんぐかいじょう

百姓一揆(いっき)の際、差出人など不明のまま参加を呼びかけて回覧される書状。そのしわざを天狗に仮託しての呼称。1764年(明和1)12月から翌年正月にかけ、武蔵(むさし)国ほか中山道(なかせんどう)沿いの村々で起きた助郷加役(すけごうかやく)反対一揆(天狗騒動)に際して、蜂起(ほうき)を呼びかけるために廻(まわ)された廻状がとくにこの名でよばれる。文面は、加重負担に反対の意趣を記したのち、蜂起の日時や集合場所を指定、ただし、差出人名、日付はなく、宛所(あてどころ)には村名を円形に書き並べてあったという。武蔵本庄(ほんじょう)、熊谷(くまがや)周辺から起こったこの一揆は、またたくまに上野(こうずけ)、下野(しもつけ)、信濃(しなの)にも波及する大騒動となった。

[水本邦彦]

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