天皇主権(読み)てんのうしゅけん

日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

天皇主権
てんのうしゅけん

主権が天皇にある、ということ。大日本帝国憲法では「天皇ハ国ノ元首ニシテ統治権ヲ総攬(そうらん)シ……」(4条)と述べ、天皇主権の原則を明確化している。天皇が主権者であることによって、戦前の天皇はさまざまな権限を有していた。たとえば、立法権は天皇にあり、帝国議会は協賛機関にすぎず(5条)、行政権は内閣にはなく、国務各大臣が天皇を輔弼(ほひつ)し(55条1項)、司法権は天皇の名において裁判所が行う(57条1項)、とされていた。また天皇は陸海軍の統帥権(11条)、宣戦講和の権(13条)、緊急勅令(8条)や独立命令(9条)を発する権、憲法改正の発議権(73条1項)などをもっていた。戦後の日本国憲法では、国民主権の原則が確立され、天皇は国政上の権限をいっさいもたないことになった。

[田中 浩]

出典 小学館 日本大百科全書(ニッポニカ)日本大百科全書(ニッポニカ)について 情報 | 凡例