緊急勅令(読み)きんきゅうちょくれい

  • きんきゅうちょくれい キンキフ‥
  • きんきゅうちょくれい〔キンキフ〕

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

大日本帝国憲法で認められた天皇権能の一つで,天皇が「公共ノ安全ヲ保持シ又ハ其ノ災厄ヲ避クル為緊急ノ必要ニ由リ」「帝国議会閉会ノ場合ニ」「法律ニ代ル」ものとして発したもの (8条1項) 。ただし,その効力は緊急のものであるから,次の議会開会に際し,議会に提出しその承諾を求めることを要した (2項) 。もし,議会がこれを承諾しないときは,将来にって効力を失うものと定められていた (同項) 。現行憲法はもちろん天皇の緊急勅令権能を認めていない。

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世界大百科事典 第2版の解説

緊急命令一種だが,大日本帝国憲法では勅令の形で行われ,緊急の場合に,天皇が議会にかけずに発する。法形式としては命令に属するが,法律と同等の効力が認められていた。帝国議会の閉会中で,公共の安全を保持し,またはその災厄を避けるため緊急の必要があるときに発する立法的緊急勅令(8条)と,内外の状況によって帝国議会を召集できないときに,〈公共の安全を保持するため緊急の需用がある場合〉,財政上必要な処分をなすために発する財政的緊急勅令(70条)とがある。

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精選版 日本国語大辞典の解説

〘名〙 旧憲法で、議会の閉会中、緊急の必要によって天皇が法律に代わるものとして発した命令。その効力は一時的なもので、次の議会で承認されなければ失効した。
※東京朝日新聞‐明治三八年(1905)一〇月二六日「当局者も之を憂ひ、大阪朝日を一打撃して、以て戒厳令及び緊急勅令を忘るる勿れと戒めたる次第か」

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旺文社日本史事典 三訂版の解説

大日本帝国憲法の中にある非常立法手段の一つ
議会閉会中,緊急を要する事態に対して,次の会期で議会の承認を求めることを前提に,枢密院の判断を経て,法律と同一の効力をもつ立法が行われた。1927年金融恐慌対策としての田中義一内閣の緊急勅令(支払猶予令)および治安維持法改正や,'36年二・二六事件,'45年ポツダム宣言受諾のときの行政戒厳令などが著名。

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世界大百科事典内の緊急勅令の言及

【勅令】より

…勅令の形式的効力は法律に劣るとされた。勅令には,法律を執行するための執行命令や法律の委任に基づく委任命令のほか,法律とは独立に出される独立命令と,帝国議会の閉会中に緊急臨時の必要がある場合に出される緊急勅令とがあった。軍の統帥事項に関する規定で内閣総理大臣の副署を要しない軍令も,広い意味での勅令である。…

※「緊急勅令」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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