輔弼(読み)ほひつ

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

輔弼
ほひつ

大日本帝国憲法 (明治憲法) 下において,天皇の権能の行使につき国務大臣宮内大臣および内大臣が行なった助言のこと。明治憲法 55条によれば国務大臣は各個独立して天皇に対する責任に任じていた。それに対して日本国憲法は,天皇の国事行為につき,内閣の「助言と承認」を要求し (「助言と承認」は天皇に対して法的拘束力をもつ) ,天皇の国事行為に関し内閣の国民に対する責任を明確にしている (3条,66条3項) 。

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世界大百科事典 第2版の解説

ほひつ【輔弼】

大日本帝国憲法において,天皇の大権行使に誤りがないように意見を上げる行為をいう。天皇の国務に関する大権については国務各大臣が輔弼し,副署によってそれを証明したが(大日本帝国憲法55条),憲法外の機関である内大臣・元老も輔弼機関と解されることがあった。統帥大権については陸軍参謀総長・海軍軍令部長といった軍令機関が輔弼するほか,陸・海軍大臣,侍従武官長も輔弼機関と解されていた。皇室大権については宮内大臣が原則的に輔弼した。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

輔弼
ほひつ

大日本帝国憲法第55条で定められた天皇の大権行使に対しての国務大臣、宮内大臣、内大臣の助言をいう。大権行使は天皇の名において行われるが、その際、判断に誤りがないように国務大臣その他が助言する。そのため大権行使に関しては、天皇には責任がなく、大臣が責任を負う。日本国憲法では、輔弼は廃され、天皇の国事行為については、内閣の助言と承認が必要とされている(憲法第3条)。[村上重良]

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世界大百科事典内の輔弼の言及

【昭和天皇】より

…昭和天皇の政治的立場は,独特の立憲君主制観と外交面における英米協調主義・対ソ連警戒という二つの特徴をもっており,この立場は,その強い信念に裏打ちされて,戦前から戦後にかけての天皇の地位の大きな変化にもかかわらず終始一貫変わらなかった。 昭和天皇のもっていた立憲君主像とは,いったん輔弼(ほひつ)機関が決めたことには介入しないというものであり,この立場は皇太子時代の教育やヨーロッパ外遊から培われたが,とりわけ29年,前年に起こった張作霖爆殺事件の首謀者に関する首相田中義一の説明が陸軍をかばって矛盾していたことを天皇が叱責したために,田中内閣が総辞職を余儀なくされた事件以来,いっそう強いものとなった。しかしこの不介入の態度はけっして絶対的なものでなく,輔弼機関そのものが破壊されたり輔弼機関が決定をなしえない場合には天皇がみずから判断を下すとされた。…

※「輔弼」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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