日本大百科全書(ニッポニカ) 「天皇摂関影図巻」の意味・わかりやすい解説
天皇摂関影図巻
てんのうせっかんえいずかん
鎌倉後期の絵巻。一巻。作者は、一部藤原為信(ためのぶ)筆、その他を後に描き継いだものともいわれるが不詳。東京・徳川黎明(れいめい)会蔵。法体(ほったい)姿12体、束帯(そくたい)姿三体、直衣(のうし)姿22体の計37体の肖像を描き連ねたもの。詞書(ことばがき)はなく、各像に名前も記されていないが、御物の『天皇摂関大臣影』を参照すると、第一から第17までは鳥羽(とば)天皇以下歴代の天皇を、最後の11体は法性寺(ほっしょうじ)関白(藤原忠通(ただみち))以下10人の肖像を描いたものと判断される(中間の九体は不詳)。描写に一貫性はないが、鎌倉時代の似絵(にせえ)絵巻の代表的作品である。
[村重 寧]