太子密建法(読み)たいしみっけんほう

日本大百科全書(ニッポニカ) 「太子密建法」の意味・わかりやすい解説

太子密建法
たいしみっけんほう

中国、清(しん)朝で、第5代皇帝雍正(ようせい)帝によって定められた次期皇帝の指名方法。満洲族出身の清朝では、皇帝位は皇族間の同意を得る必要があり、後嗣(こうし)指名は行いがたく、第3代皇帝順治(じゅんち)帝は死の直前にようやく康煕(こうき)帝を指名した。康煕帝は早く皇太子を指名したが、康煕帝の在位期間が60年と長かったこともあり、皇太子をめぐる党派争いが激しく、ついに廃太子(のちにふたたび皇太子になり、また廃された)とした。このようななかから雍正帝が即位したが、帝は即位すると、皇太子は指名するが公表せずに、その氏名を記した紙を紫禁(しきん)城乾清(けんせい)宮の玉座の後ろに掲げられた「正大光明」の額の裏に入れ、一方、密旨内務府に蔵して、帝の没後両者を照合して、指名されている者が帝位につくという方法を定めた。

[細谷良夫]

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旺文社世界史事典 三訂版 「太子密建法」の解説

太子密建法
たいしみっけんほう

清の皇帝が後継者を決める際にとった方法・制度
皇帝生存中に皇太子を立てず,しかるべきものの名を書いて密封し,帝の死後,これを開いて後継者を発表した。世宗雍正 (ようせい) 帝に始まり以後歴代定法となった。

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