女郎花豆腐(読み)おみなえしどうふ

日本大百科全書(ニッポニカ) 「女郎花豆腐」の意味・わかりやすい解説

女郎花豆腐
おみなえしどうふ

豆腐料理一種豆腐の水けを絞ってすり鉢ですり、卵を入れてさらにすり混ぜ、だし汁で煮る。別に卵を溶いてみりんしょうゆで薄く調味し、湯煎(ゆせん)にしながら炊(い)りつけて卵そぼろをつくり、前の豆腐にかけて用いる。

 このほか、女郎花豆腐とよばれるものに田楽(でんがく)風の料理がある。これは、豆腐を串(くし)に刺して水けがなくなるまで空(から)焼きし、こしょう、しょうゆをつけて焼き、その上に蒸した粟(あわ)を散らしたもので、江戸中期には最高の豆腐料理であったとみられている。鎖国の時代に、海外からしか入手できなかったこしょうを用いているというのは、当時としてはきわめて斬新(ざんしん)なものであったといえる。

多田鉄之助

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