改訂新版 世界大百科事典 「妙〓寺」の意味・わかりやすい解説
妙寺 (みょうれんじ)
京都市上京区にある本門法華宗の本山。卯木山と号する。永仁年間(1293-99)日像が五条西洞院に酒屋柳屋仲興の外護(げご)により開基,妙法蓮華寺と称したという。のち破却されたが,応永年中(1394-1428)仏性院日慶が,開山に庭田重有の子日応を迎えて,かつて日像が寺庵を結んだ綾小路大宮の故地に妙蓮寺を開創。そののち公武の保護や町衆信徒の支援で寺勢を伸ばし,京都二十一ヵ本山の一つに数えられた。1536年(天文5)の天文法華の乱で叡山衆徒に焼討ちされ,そののち大宮元誓願寺通りに再建されたが,1587年(天正15)豊臣秀吉の命で現地に移った。近世は朱印寺領10石,本堂・方丈・書院・庫裏など現在の堂宇は1788年(天明8)の大火後の再建である。寺宝中,長谷川等伯一派の作とされる《松桜図》《鉾杉図》《柳図》などの障壁画,本阿弥光悦筆の《立正安国論》と《始聞仏乗義(しもんぶつじようぎ)》,伏見天皇宸翰法華経は重要文化財。枯山水の庭は〈十六羅漢の庭〉といって江戸初期の作とされ,境内に〈余の花はみな末寺なり妙蓮寺〉とうたわれた名木の妙蓮寺椿がある。
執筆者:藤井 学
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報