委任統治制度(読み)いにんとうちせいど(その他表記)mandate system (League of Nations)

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「委任統治制度」の意味・わかりやすい解説

委任統治制度
いにんとうちせいど
mandate system (League of Nations)

第1次世界大戦後,ドイツおよびトルコ統治から離れた植民地およびこれに準じる領土に対し国際連盟のもとに創設された統治制度。統治を担当する受任国が,国際連盟の一定の監督に服しながら自国領域として統治するとされた。委任統治地域は,住民の政治的・経済的発達の程度や地理的理由などによってA,B,Cの3式に分けられた。A式はアラビア半島の旧トルコ領に適用され,住民にある程度の自治が認められ,受任国はその地域が独立するまでの間,助言援助を与えるものとされた。B式,C式は旧ドイツ領に適用され,受任国はこれを自国の領土として統治することを認められる一方で,住民の信仰の自由の保障,奴隷売買の禁止,その他の義務を負った。第2次世界大戦後,この制度は国際連合の信託統治制度に受継がれた。

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山川 日本史小辞典 改訂新版 「委任統治制度」の解説

委任統治制度
いにんとうちせいど

国際連盟の監督下に,住民の福祉向上,自治・独立の促進を目的として,ドイツ,トルコ両国の旧植民地・領土を統治した制度。第1次大戦後,英・仏・日は敗戦国側の領土割譲を望んだが,米大統領ウィルソンが反対したため,南ア連邦首相スマッツが妥協案として考案した。連盟規約22条は,住民の自治達成度によってA式・B式・C式と地域を三つに分類していた。C式は旧独領の南西アフリカと南太平洋諸島に適用されたが,日本はこのうち赤道以北の太平洋諸島の受任国となった。受任国は該地域に関する年報を連盟理事会に提出する義務があった。

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