ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「太平洋諸島」の意味・わかりやすい解説
太平洋諸島
たいへいようしょとう
Pacific Islands
16世紀に始まるヨーロッパ人との接触以来,疫病などによる人口の激減,キリスト教布教,19世紀後半にいたる欧米諸国による分割領有体制の完成を経て,2度の世界大戦における戦場,第2次世界大戦後の核実験場,軍事基地として,外部からの影響にさらされてきた。1962年の西サモア独立(1997年にサモアに改称)以来,ナウル(1968),フィジー(1970),トンガ(1970),パプアニューギニア(1975),ソロモン諸島(1978),ツバル(1978),キリバス(1979),バヌアツ(1980),マーシャル諸島(1986),ミクロネシア連邦(1986),パラオ(1994)が独立し,北マリアナ諸島,クック諸島,ニウエが内政自治に達しているなど,主としてイギリス連邦系諸地域の政治的進展が著しい。
太平洋諸島は自然地理的に陸島と洋島,火山島とサンゴ島などさまざまな分類が可能であるが,住民の民族・文化的類型によってメラネシア,ポリネシア,ミクロネシアに分けることが一般に行なわれている。このうちメラネシアと,ポリネシアおよびミクロネシアとの対照が著しい。メラネシアは造山帯に属する大きな島々によって構成され,太平洋諸島全体の面積の 98%を占め,人口密度が低いにもかかわらず人口の規模が大きく,全体の 84%を占める。またフィジーを除くメラネシアは社会の階級分化が進行せず,小さな村落的平等的社会に分かれているのに対し,ほかの 2地域およびフィジーでは貴族的階層を含む社会組織が発達し,その規模も大きい。一般にメラネシアのほうが開発も遅れているとされるが,資源賦存(耕地,鉱産・林産資源など)の点では将来性は大きい。
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