改訂新版 世界大百科事典 「姫神岳」の意味・わかりやすい解説
姫神岳 (ひめかみだけ)
姫神山ともいう。北上高地の北部,岩手県盛岡市の旧玉山村にある標高1124mの山。全山が中生代の花コウ岩からなる角錐状の山で,頂上付近は花コウ岩が露出する。周囲は標高350~900mの高原が広く開けているが,姫神岳はこれらの高原面からとり残された残丘である。坂上田村麻呂が守護神を山頂にまつり,この地方を支配したとの言い伝えがある。玉東山とも呼ばれ,岩手山,早池峰(はやちね)山とともに南部の三霊山として山岳信仰の中心であった。玉山に姫神嶽神社がある。春のスズラン,秋の紅葉の季節に登山者が多く,女性的な山容は,北上川をはさんで西側にある岩手山の雄壮な山容と好対照である。石川啄木の生地である渋民(しぶたみ)村(現,盛岡市玉山区渋民)は,姫神岳西麓にある。
執筆者:川本 忠平
出典 株式会社平凡社「改訂新版 世界大百科事典」改訂新版 世界大百科事典について 情報