岩手山(読み)いわてさん

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典の解説

岩手山
いわてさん

岩手県の北西にある火山活火山で,常時観測火山。別称巌鷲山(がんじゅさん),南部富士岩手富士南部片富士。標高 2038m。岩手県を代表する山で,山域は八幡平市滝沢市雫石町の 3市町に及ぶ。東西に連なって噴出した成層火山十和田八幡平国立公園の最高峰で,那須火山帯に属し,山頂は東岩手山と西岩手山の二つに分かれる。東岩手山は二重式火山(→複式火山)で,おもに輝石安山岩からなり,頂上に直径約 1kmの大噴火口をもつ。火口壁の北縁に最高峰の薬師岳が,火口原には中央火口丘の妙高山がある。御室火口からはいまも水蒸気を噴出。北東斜面の中腹には享保17(1732)年に噴出した長さ約 3kmに及ぶ焼走り熔岩流(国指定特別天然記念物)がある。西岩手山は三重式火山で,山体は輝石安山岩,橄欖岩の溶岩と砕屑岩(さいせつがん)からなる。頂上に東西 3km,南北 2kmの大噴火口があり,その外輪山の北壁を屏風尾根,南壁を鬼ヶ城と呼ぶ。中央火口丘の頂上には直径約 450mの噴火口,御苗代湖,御釜湖がある。いずれも濃い青藍色の水をたたえている。8合目にはかつて盛岡地方気象台の岩手山測候所(→測候所)があったが,1973年に閉鎖された。東から柳沢口,平笠口,南から網張温泉口,北から七滝口,松川温泉口などの登山コースがある。不動平火口原から頂上にかけて,新旧火山の相違や高山植物の種類,発生状態が区域により異なることが観察され,岩手山高山植物帯として国の天然記念物に指定されている。

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デジタル大辞泉の解説

いわて‐さん〔いはて‐〕【岩手山】

盛岡市の北西にある火山。標高2038メートル。北麓の金沢清水は名水で知られる。南部富士。岩手富士。巌鷲山(がんじゅさん)。

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百科事典マイペディアの解説

岩手山【いわてさん】

岩手県盛岡市北西方にある安山岩からなる三重式成層火山。標高2038m。十和田八幡平(はちまんたい)国立公園の中では最高峰。南部富士,片富士とも呼ばれる。鬼ヶ城,黒倉山など南面する外輪山に囲まれた火口原に火口湖の御苗代湖,御釜湖があり,高山植物(天然記念物)が群生。山体東部は新火山体の東岩手山で,頂部に火口と火口丘をもち,広い裾野(すその)上に1719年噴出した焼走りと呼ぶ溶岩流(特別天然記念物)がある。《千載和歌集》など古くから歌に詠まれるが,菅江真澄などによれば岩鷲(がんじゅ)山とも称された。山麓に小岩井農場松川温泉,網張温泉(岩手山麓国民休暇村)がある。現在でも時折火山性微動を発生させるなど活動が継続しており,気象庁が常時観測する活火山となっている。
→関連項目奥羽山脈雫石[町]滝沢[市]西根[町]日本百名山

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世界大百科事典 第2版の解説

いわてさん【岩手山】

岩手県西部,盛岡市の北西に位置する円錐形の火山。標高2041m。岩手県内の最高峰で南部富士といわれ,東・北・南側のすそ野の発達がよく,その末端はそれぞれ松川,北上川雫石(しずくいし)川にまで至るが,西側は複雑な山容を示すことから南部の片富士の名もある。山体は噴出時代の異なる東西両岩手山からなり,古い西岩手山の東側を,新しい東岩手山が覆っている。西岩手山は頂上に東西3km,南北2kmの大火口をもち,その外輪山の北壁を屛風岳,南壁を鬼ヶ城と呼び,火口内には御釜,御苗代(みなわしろ)の両湖があり,濃い青藍色の水をたたえている。

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大辞林 第三版の解説

いわてさん【岩手山】

岩手県西部にある火山。海抜2038メートル。山麓さんろく一帯は農牧が盛ん。南部富士なんぶふじ。岩手富士。

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日本の地名がわかる事典の解説

〔岩手県〕岩手山(いわてさん)


岩手県西部、盛岡(もりおか)市の北西に位置する複合成層火山。古い西岩手山と新しい東岩手山からなる。標高2038m。深田久弥(ふかだきゅうや)「日本百名山」の一つ。南部(なんぶ)富士・岩手富士とも。1719年(享保(きょうほう)4)の噴火で東麓(とうろく)に流れた焼走(やけはし)り溶岩流は特別天然記念物。山頂近くの高山植物群落は岩手山高山植物帯として天然記念物に指定されている。山麓には網張(あみはり)温泉・松川(まつかわ)温泉・東八幡平(ひがしはちまんたい)温泉郷のほか、スキー場・キャンプ場などが多い。

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日本大百科全書(ニッポニカ)の解説

岩手山
いわてさん

岩手県中西部、盛岡市の北部にそびえる山。標高2038メートル。コニーデ式火山で、南部富士、岩手富士ともいう。複合火山のため眺める位置によって形が変わり、南部片富士ともよばれる。山岳信仰の対象であった山で、古くは巌鷲(がんじゅ)山ともよばれた。山体は二つの火山からなり、古い西火山の火口は東西約3キロメートル、南北約2キロメートルの紡錘形をなし、屏風(びょうぶ)岳、鬼ヶ城の外輪山と中央火口丘がある。東岩手山は西岩手山の東斜面に形成された新しい火山で、噴気孔がみられ活火山の様相を呈している。1719年(享保4)の噴火は特徴的で、北東斜面から多量の「焼走り熔岩(ようがん)流」(特別天然記念物)を流出した。新旧火山の相違や高山植物の種類、群落の移り変わりが観察され、「岩手山高山植物帯」として国の天然記念物に指定されている。十和田八幡平(はちまんたい)国立公園の南部を占め、湿原、湖沼、渓谷、温泉など、主として火山性景観が展開。岩手山北西麓(ろく)には松川温泉、松川地熱発電所(2万キロワット)があり、南西麓には網張(あみはり)、滝ノ上(たきのうえ)温泉や葛根田(かっこんだ)地熱発電所(8万キロワット)がある。また、緩やかな山麓斜面は第二次世界大戦後は開拓入植により牧野が広がり、一本木には自衛隊演習地もある。登山口は、信仰登山のため開かれた柳沢口、西岩手山の複雑な景観を展開する網張温泉口などがある。[川本忠平]
『『岩手山 第一部』(1973・岩手放送)』

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世界大百科事典内の岩手山の言及

【岩手[県]】より

…藤原文化を受けつぐ歴史の町平泉や花巻温泉郷などは,東北観光ルートの基地でもある。(2)奥羽山脈東麓地帯 北部には七時雨(ななしぐれ)山に続く高原があり,八幡平,岩手山,駒ヶ岳など1500m前後の山々が集まって十和田八幡平国立公園の雄大な自然美を作り出している。その中でも岩手山(2041m)は南部富士ともいわれる円錐状火山で,付近に多くの温泉が湧出し,松川地熱発電所(2万kW),葛根田(かつこんだ)地熱発電所(5万kW)などもあり,北東北(きたとうほく)の観光の中心地となっている。…

※「岩手山」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

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