子宮頸がんワクチン

共同通信ニュース用語解説 「子宮頸がんワクチン」の解説

子宮頸がんワクチン

子宮けいがんワクチン 子宮の入り口付近にできる子宮頸がんの主な原因となるヒトパピローマウイルス(HPV)の感染を予防するワクチン。約半年かけて計3回接種する。日本では2009年に初承認、13年に予防接種法に基づき原則無料の定期接種となった。公的接種は100カ国以上で行われているが、日本は諸外国と比べて接種率が低いのが課題とされる。

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知恵蔵 「子宮頸がんワクチン」の解説

子宮頸がんワクチン

子宮頸がんを引き起こすヒトパピローマウイルス(HPV)への感染を予防するワクチン。HPVは100種類以上あることが知られているが、このうち子宮頸がんでよく見られるHPV16型とHPV18型に対して予防効果を持つ。
子宮頸がんの多くは、性交渉を通じてHPVに持続的に感染することが原因で発症するが、ワクチンを接種することによってウイルスへの感染や細胞ががんになる前の異形成を約90%予防できたという報告もある。また、アメリカの疾病対策予防センターは、ワクチン導入前と導入後で14~19歳の女性での感染率が56%減少したと報告している。
2006年から欧米を中心に承認が始まり、WHO(世界保健機関)の推奨もあって現在では120カ国以上が承認。これまでに販売されたワクチンは約1億7600万回分に上る。日本では、09年12月に販売が始まり、現在はサーバリックスとガーダシルという2種類のワクチンが任意接種となっている。健康保険は適用されず、1回の接種費用を1万~1万5000円ぐらいに設定している医療機関が多い。どちらのワクチンも十分な免疫をつけるためには3回接種する必要があり、総額で5万円弱かかるが、10年から厚生労働省自治体助成金を出し無料または低額で接種できるようになった。HPVの性質上、ワクチンが有効なのは性交渉前の女子だけであるため、接種対象者はだいたい中学生、高校生に限られる(アメリカでは小学校高学年から)。
日本では、接種後に慢性疼痛(とうつう)やギラン・バレー症候群などを発現する例が複数報告されたため、13年6月に厚生労働省が一般向けに注意喚起を行った。これに対しWHOのHPVワクチンに関する安全性レポートは、日本以外の国から同様の副反応は報告されておらず、原因をHPVワクチンに求める理由はほとんどない、としている。

(石川れい子  ライター / 2013年)

出典 (株)朝日新聞出版発行「知恵蔵」知恵蔵について 情報

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