孔食(読み)コウショク

デジタル大辞泉 「孔食」の意味・読み・例文・類語

こう‐しょく【孔食/孔×蝕】

金属材料表面に生じる局所的な腐食ステンレス鋼アルミニウムなどに見られる。

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化学辞典 第2版 「孔食」の解説

孔食
コウショク
pitting corrosion

点食ともいう.孔食は鋼,アルミニウムなどに見られる局部的にはげしく起こる腐食の一形態で,結果として金属小孔(pit)をつくる.場合によっては密集した小孔をつくり,荒れた面のように見える場合もあるが,一般には直径が深さと同程度か,それ以下のものをピットとよぶ.孔食については次のような現象が報告されている.
(1)pH > 3の中性付近で,Fe3+ あるいは溶存酸素などの酸化剤が存在するか,またはアノード分極により,金属が不動態領域にあるときに起こる.
(2)孔食が起こるためには,ある限界濃度以上のハロゲン化物イオン(たとえば,0.5 mol L-1H2SO4溶液中の鉄の場合,[Cl] > 3×10-4 mol L-1)が存在することが必要である.
(3)孔食は,金属の電位がある臨界電位(孔食電位)以上になったときに起こり,その電位はハロゲン化物イオン濃度,金属・合金の種類により異なる.
(4)孔食発生には潜伏期間(誘導期間,incubation period)があり,ハロゲン化物イオン濃度の増加により潜伏期間は短くなる.
(5)ClO4,SO42-,CrO42-,NO3,OHなどのアニオンは孔食を抑制する.
(6)ピットがある程度成長すると,ピット内の pH 低下,Cl濃縮などにより,ピット成長は自己触媒的に加速される.

出典 森北出版「化学辞典(第2版)」化学辞典 第2版について 情報

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「孔食」の意味・わかりやすい解説

孔食
こうしょく
pitting corrosion

金属の腐食の一種。金属面の欠陥部分から腐食が進行し,孔状に腐食が起る。全面腐食と異なり腐食量は小さいが,事故につながりやすい。

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世界大百科事典(旧版)内の孔食の言及

【腐食】より

…局部腐食の原因としては,使用中の環境条件の変化,構造物や機器の設計上の不備,製造条件の不備によって生じた材質の欠陥,防食手段の局部的な消失などがある。局部腐食の形態としては,孔食,糸状腐食,隙間(すきま)腐食,水線腐食,粒界腐食,選択腐食,腐食を原因とする割れなどがある。
[環境による腐食の分類]
 大気中,海水中,土壌中で起こる金属の腐食を,それぞれ大気腐食atmospheric corrosion,海水腐食sea water corrosion,土壌腐食soil corrosionと呼ぶ。…

※「孔食」について言及している用語解説の一部を掲載しています。

出典|株式会社平凡社「世界大百科事典(旧版)」

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