存在と非存在(読み)そんざいとひそんざい(その他表記)being and nonbeing

ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典 「存在と非存在」の意味・わかりやすい解説

存在と非存在
そんざいとひそんざい
being and nonbeing

有と非有ともいう。パルメニデスをはじめとするエレア派は,非存在の存在を絶対的に否定した。これに対してレウキッポスは非存在を前提とすることによって,物体とそれを取巻く空間という原子論的世界観に到達した。アリストテレス新プラトン主義では,可能態としての質料が存在である形相に対して非存在の位置におかれたから,この体系では生成はいわば非存在から存在への移行と考えられる。近世以後ではヘーゲルが存在と非存在を弁証法的見地から重視したほか,実存哲学が中心課題として取上げ (ハイデガー,サルトル) ,否定し限定する力として非存在を積極的に評価した。

出典 ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典ブリタニカ国際大百科事典 小項目事典について 情報

今日のキーワード

苦肉の策

敵を欺くために、自分の身や味方を苦しめてまで行うはかりごと。また、苦しまぎれに考え出した手立て。苦肉の謀はかりごと。「苦肉の策を講じる」...

苦肉の策の用語解説を読む

コトバンク for iPhone

コトバンク for Android