普及版 字通 「孚」の読み・字形・画数・意味
孚
7画
[字訓] かえる・とらえる・まこと
[説文解字]
[甲骨文]
[金文]
[字形] 会意
爪(そう)+子。爪は手で上からおさえる形で、孚は俘獲の俘の初文。〔説文〕三下に「卵ち孚(かへ)るなり」(段注本)とし、爪を鳥の爪、卵の孚化する意とし、「一に曰く、信なり」と孚信の義を加える。〔段注〕に、鶏卵が必ず鶏となる意であるとするが、孚信の義は仮借。金文に孚を俘獲の意に用いて「貝を孚(と)る」「金を孚る」のように用いる。〔師詢(しじゆんき)〕に「孚(おほ)いに天命を受(さづ)けらる」とは「(おほ)いに」の意。また〔者減鐘(しやげんしよう)〕に「(わ)(和)ならしめ、孚(まこと)ならしめ」と孚信の意に用いる。〔書、高宗日(ゆうじつ)〕「天に命を孚(まこと)にす」を〔魏石経〕に「命を付(まこと)にす」に作り、〔説文〕甲字条十四下「木の孚甲(若芽)を戴くの象」の孚甲を、〔史記、律書〕に「符甲」に作る。孚・・付・符の字の間に、通用の関係がある。
[訓義]
1. 卵がかえる、卵をかえす。
2. とらえる、俘の初文。上からおさえ、とりことする。
3. まこと、まことある。
4. おおいに、つく、つつむ、おおう。
[古辞書の訓]
〔名義抄〕孚 マコト・ハグクム・サハク 〔立〕孚 ヤシナフ・フケ・ハググム・サネ・マコト
[声系]
〔説文〕に孚声として・・俘・(浮)・など十字を録し、保(ほ)声の字も同声とする。俘は俘獲で孚がその初文、はれるものを取りあげる意。孚化の字は(ふ)。(ふ)は抱取。孚声の字に孚信の意をもつものがなく、孚信は字の本義としがたい。
[語系]
孚・孵phiuは(抱)bu、伏biukと声義の関係がある。保puもその系列の語と考えられ、生子を抱いて襲衾(おふふすま)を加え、魂振りをする形の字で、と声義が近い。
[熟語]
孚育▶・孚尹▶・孚化▶・孚休▶・孚甲▶・孚洽▶・孚釈▶・孚信▶・孚乳▶・孚萌▶・孚命▶・孚瑜▶・孚養▶・孚卵▶
[下接語]
永孚・化孚・感孚・簡孚・謹孚・恵孚・作孚・信孚・成孚・誕孚・中孚・忠孚・有孚
出典 平凡社「普及版 字通」普及版 字通について 情報